旅立ち

夕方、帰宅するとはがきが一枚届いていた。
10年前、旅の中で知り合った友達からの結婚の知らせだった。
彼女は旅を終えてからずっと日本で何かと戦っていたような気がする。
「戦っていた」と言うと語弊があるかもしれない。
自分自身の中で「人生の流れ」が動き出すのを待っていた、といったほうがいいかもしれない。
「新しい世界の旅になりそうです」はがきはそんな言葉で結ばれていた。
私達は生まれたときから人生を旅している。
外国に飛び出すだけが旅ではないのだな。

「何かが流れ始める」という感覚が人生の節目に感じることがある。
「胸騒ぎ」の感覚と似ている。
しかし決して不愉快な感覚ではない。
行くべきところに、たどり着くべきところに向かっているといった安心感を伴う感覚だ。
おそらく友達もそんな感覚の中にいるのだろう。

そんな友達にお祝いメールを送ろうとメールボックスを開いたら
もうひとりの旅友達のお父様がが他界されたという知らせを受け取った。
数ヶ月に及ぶ闘病生活の末だった。
旅立ってしまったのか。そんなに急ぐことはなかったのに、、、と思いつつも
旅立ちは自分自身で決めるものだ。きっと「その瞬間」を自ら選ばれたのだろう。
人生の中での新しい旅立ちと、
人生を終えたという旅立ち。
同日に知らせを受け取った私は少し混乱している。