祭りのあと

翌日から熱が出た。
風邪とは違い、頭痛もなく咳きも出ず、ひたすら熱が出た。
前日、帰りの車でお世話になったババの宿に遊びに行って美味しいカレーをご馳走になった。
ババ曰く、昨日が祭りのメインの日だったんだ。これが終わるとサンガンに集結したサドゥ達は
一斉にここ、バラナシにやってくるんだ。
昔は交通も整備されていなかったからみんな船にのってバラナシまでやってきたんだよ。
サドゥを乗せた船でガンジス河がいっぱいになるんだ。雄大な風景だったんだよ、、、、
なんとなく、その風景が想像できるような気がする、、、、、

単に外国のお祭りを見てきました、では済まされない経験だった。
大きなエネルギーの渦の中に飛び込んでいって、
今まで自分がこだわっていた価値観や限界が砕け散っていった、、、、
自分が空っぽになったような気がした。
空っぽになった頭と心。
なんでも吸収できそうな気がした。
翌朝から、とにかく見るものすべてが輝いて見える。
街角から聞こえる音楽が深く心に響く。
本を読んでいても文章1つ1つがじっくり心に染み込む。
見る・読む・触る・感じる。すべてのことにいたく感動してそのたびに涙が出てくるほどだった。

人生のリセット、なんだろうな、と思った。
それまでの数年間、日本で一生懸命働いていた。
なんとか人並みに働いて安定した生活をしようとした。
旅はもう卒業、と思っていた。
決して楽しい生活ではなかったけれど、誰だってストレスを抱えながら
コツコツと人生を歩んでいる。満員電車だって我慢している。
でも2001年を前にして私なりにがんばってきたものがすべて目の前からなくなってしまった。
なんの前触れもなく人生の進路変更に遭遇したような気がした。
「あなたの道はこれではありません」と運命に判決を出された挙句、取り上げられたような気がした。
運命のバカヤロー!と叫んでみたりした。
進路変更させたなら、進むべき新しい進路の道しるべでも教えてくれてもいいじゃないか、と。

でも、今になってみるとよくわかる。
クンブメーラを前後して私はヒマラヤクリスタルに出会っていた。
それをめぐる人脈にも出逢っていた。
あらから6年経った今、細々ながらクリスタルのお店なんて開いちゃっている。
神様はーーーー存在すればの話だけどーーーーー
私の足元にクリスタルというギフトをちゃんと置いてくれたんだ。
何かを手放せば、新しい何かがやってくる、、、、人生ってそんなものかもしれない。

祭りの後
「これで今回のインドはおしまい」という気がした。
この祭りのためにインドに来たのだから、祭りの後にいる必要はなし、と。

バラナシを離れ、ネパールに戻る。
しばらく祭りの疲れを癒してから帰国。
そう、たくさんのヒマラヤクリスタルとともに。

the end

投稿者:

tigressyogi

1969年冬・東京に生まれる 世界放浪中にクリスタルの美しさに心を奪われ クリスタルショップ Tigress Yogi を立ち上げる 筋金入りの偏頭痛持ちだか、日本を離れるとなぜか頭痛は消える 米国クリスタルアカデミーIntermediateコース終了 出没地:インド、ネパールその他山岳地帯

コメントを残す