組紐体験に行ってきた話。

昨年の慌ただしい師走に、なんとか時間を作って組紐の体験に参加してきました。

場所は東京・上野にある道明さんの店舗兼工房。

着物について疎い私は全くもって知らなかったのですが

創業から300年以上の歴史を持つ帯締めのお店。

敷居が高すぎたか?と申し込んだ後に少々後悔もしましたが

とにかく見てみよう、体験してみよう、何かが学べるからもしれない。

私はマクラメで「編む」ことをしているけど、「組む」ということにもとても興味があった。

6人ほどの参加者の方達と共に、お店の歴史、そして組紐の歴史を伺い

まず工房内にある「染め」の現場を見学。

絹糸を自社で染め上げる。染料は化学染料。帯締めの他にネクタイやアクセサリーなどの商品もあるそうで、色落ちのする草木染めではなく化学染料を使用しているとのこと。もちろん帯締めだって摩擦で帯に色移りしてしまうこともあるだろう。

あ、草木染めではないのか、意外だった。

私は藍染のブルーが大好きで、いつか藍染の絹糸を使ってマクラメ編みをしてみたいと思っていたいのだけど、藍染はどうしても色落ちする。たとえば藍染の靴下を履けば、脱いだときに足指や爪は真っ青に染まる(笑)Tシャツだってブラジャーがほんのり青に染まる。洗濯を繰り返すうちに色落ちはしなくなるのだけど、アクセサリーは洗濯することはできない。ペンダントなら襟ぐりや胸元、ブレスレットなら袖口に色移りしてしまうだろう。完璧な色止めってできるのだろうか?といつも疑問だった。

そうだよね、やはり化学染料だよね。

化学染料で「意外」と思ってしまった私。多分、巷に溢れるファストファッションの品のない色出しを見過ぎて、化学染料を下に見ていたのだと思う。

下に見てはいけない。化学染料でも染め職人の匠の技によって本当に美しい色が作り出されることを知った。

計量カップのような碗に染料が入っていて、職人さんが見本の(完成品)の絹糸の束を見ながら鍋に染料を追加していく。秘伝のレシピのごとく細かな分量が決められいる訳ではなく、職人さんの匙加減だそう。まさに職人技。

この写真はグラデーションで染めているところ。鍋に水を足して染め液を薄くしながらグラデーションに染め上げていく。水の分量も大きな計量カップで蛇口から水を汲んで目分量で薄めていた。火を使っているので真夏はものすごい室温になる、とのこと。

こちらは藍で染めたげた絹糸。博物館などから復元の依頼もあるそうでその時は草木染めの絹糸を使って復元する。なので様々な色の草木染めの絹糸も染めてストックしている。

美しい青を見ると、すぅーーーーーと、その世界に入り込んでしまう癖がある。ここは自宅ではない、やめておけ。入り込むな。見学の最中だぞ。自分に言い聞かせる。

私物なら色落ちしてもいいからこの色でマクラメア編みたい諦めきれない私。しつこい。

次は「組み」の現場へ。

組み機械、間違ってもユザワヤでは売っていないだろう。数センチ幅の「紐」を作り上げるためにこれだけの本数の糸を順番通りに組んでいく。朱と青の美しいグラデーションの糸。実演を見ていて、全く無駄動きのない手捌き、軽やかにリズミカルに。匠の技。

このお部屋には染め上げられた絹糸のストックがいっぱいストックされている。美しい色の塊を見るだけで嬉しくなる。

「ハンドメイドの為、多少の歪みなど、、、、」そんな言い訳通用しない世界が職人。私も少しでもいいから職人に近づきたい、と心底思った。

ちなみに私、マクラメを集中して編んでいるときはとにかく甘いものが食べたくなる。 たまに黒糖丸齧り、とかある。その消費量を人が見たらびっくりすると思うほど糖分が欲しくなる。ひたすら集中して何も考えていないと認識しているけど、         無意識の中で相当頭(ないなりに)使っているんだろうな、と思うほどの消費量。   作品の撮影や、編集、このブログのような記事を書いているときは(運動量少ないのに)とにかくお腹が空く。編むときは糖分、それ以外の集中は空腹。どうしてなのかわからないけど。

工房見学の後は、いよいよ組紐体験へ。ここまででも十分参加してよかったな、と思ったけれど、本日のメインイベントは「体験」なのです。

申し込みの際にブレスかピアスをチョイスできて、糸の色も選べる。私はブレス、青系をチョイス。体験ルームに既に糸がセッティングされていてひたすら組む。

ひたすら組む、、、、だけなんだけど、そのはずなんだけど、とにかく難しい。「頭で考えると手が動かなくなってしまうので、体で順番を覚えてください」とのことなんだけど体はちっとも覚えなく頭が一生懸命覚えようとする。隣の若い女性はとっくに体で覚えたようで、リズミカルに手先を動かす。焦る私。物覚えがいい若さが羨ましい。     そして「50の手習」なるものはきっと口にするより相当根気が必要なもののような気がしてきた。まー人生100年時代だし。焦る必要ないのかもしれないけど。      あれー、今までマクラメ編んできたのに。それとこれとは全く別物のようだ。

少しの力加減の違い糸を置く位置とその間隔で随分仕上がりが違ってくる技法のようだ。 何事も手捌き、だ。

「心が不安定で乱れている時は作品に現れます」という言葉にとっても同意。

そう、マクラメの目も心の状態がはっきりと出る。職人さんでもそうなのか。どうやって日々それをコントロールしているんだろう。

今回体験で組んだ組紐は後日、ブレスレットに仕上げて発送してくれるそう。

年が明けて1ヶ月ほど経ったある日、送られてきた組紐ブレスレット。        アジャスター部分は私も使用しているワックスコード。              

所々に組み目の乱れである心の乱れが現れています、、、、

マクラメ作品でも作る「四つ畳み」と呼ばれる編み方は組紐と同じ仕組みで作るのだけど絹糸だととてもしなやかな出来栄え。そして絹糸特有の光沢が美しい。

今回の工房見学と組紐体験は WABUNKA という日本の伝統文化を体験できるコースを提供しているウェブサイトで見つけて申し込みをしました。

ご興味のある方はサイトを覗いてみてください。

日本の魅力を感動体験として届ける WABUNKA https://wabunka-media.jp

そして道明さんのウェブサイト 有職組紐 道明  https://kdomyo.com

職人技を身近で見ることができる貴重な体験でした。

投稿者:

tigressyogi

1969年冬・東京に生まれる 世界放浪中にクリスタルの美しさに心を奪われ クリスタルショップ Tigress Yogi を立ち上げる 筋金入りの偏頭痛持ちだか、日本を離れるとなぜか頭痛は消える 米国クリスタルアカデミーIntermediateコース終了 出没地:インド、ネパールその他山岳地帯

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