2011/11/23 11:23:34
「また会えて、うれしかったよ」
ドイツに来て、何度も何度もこのセリフ言ってるな、私。
2泊3日のベルリン滞在。
街を観光し、夜の森を散歩し、そんな森の中のビアガーデンでビールを飲み。
なんと言っても、天使ダミエルが見ていたその風景を見ることができた。
「新しい道を進んで」
ベルリンの友達も、「私の道」についてアドバイスをくれる。
今回ドイツで再会したのは、インドの旅の中で出会った人たち。
当時は「良い人に出会えて楽しかったな」と思っていた。
もちろん、今でもそう思っているのだけど。
「私と、出会ってくれて、ありがとう」
今では、そんな言葉も添えたいと思う。
正直、昔出会った旅の記憶は、果てしなく太古の出来事のように思える。
まるで前世の記憶、だ。今の私にとっては。
みんな、取り巻く状況や、立場は変わってしまったけど
太ったり・禿げたり・しわも増えたりしたけれど
コアな部分(魂、とも言えるかもしれない)は変わっていない。
それが何よりも嬉しかった。
列車に揺られる6時間。
久々に私のパンドラ・ボックスの中を覗いてみる。
ああ、本当に色々なことがあったな。
確かに辛かったけどその辛さが私を成長させてくれたことを実感する。
そう思えた瞬間、パンドラ・ボックスに詰め込んだアイテムたちは、
箱を飛び出して、遠くの空へ消えていく。
車窓の景色が段々と、ミュンヘンっぽくなってくると、
私の中のモノ悲しさと、それをコントロールする緊張感も消えていく。
「ああ、ミュンヘンに戻って来れた」心底ホッとする。
ホテルに戻ると(部屋はそのままキープしていた)フロントスタッフが
「おお!Ms.ホンダ!戻ったか!!ベルリンは楽しかったかい?」
、、、、なんだか、大歓迎を受ける。まるで我が家に戻ったようだ。
(この手の歓迎は、ドイツ人であっても、さすがにインド系ドイツ人だ。)
シャワーを浴びて少し休もう、、、と思っていたところに友達から電話。
「今、市場にいるのだけど、出てこれる?」
はーい、今から行きます。
「ベルリンは楽しかった?」
友達がそう言って、握手をしたところで突然、体中の力が抜けたように
その場でヘナヘナと座り込んでしまう私。
完全なる・電池切れ、だ。
「どうしちゃったの?大丈夫?、、、、取りあえずビールを飲もう」
「時差ぼけが、きつい」
「それじゃ、ビールを飲んで」
「ちょっと疲れたからホテルに戻る」
「ビールを飲めば疲れは取れるよ」
「風邪気味だから、外で飲むのはよそう」
「ビールを飲めば、風邪は治るよ」
この滞在中、私が何かを言えば返ってくるのは「ビールを飲んで」。
トリンケン・ズィー・ビーア(ビールを飲んで)
私が今回、覚えるつもりがなくても、覚えた唯一のドイツ語だ。
「文化の違い」とは、便利な言葉だ。
眠れず、食べられず、電池切れの私には、もう「ビールを飲んで」は通じない。断じて。
(でも結局、ヨロヨロ立ち上がって、ビールを飲んじゃうんだけど)
そんなにビールばかり飲んでいるから、デブになるし、禿げるんだ!
(禿げは関係ないのだけど。まぁ、単なる八つ当たりだ)
明日の帰国便の予約は入れてあるのだけど
それを延長して、どこか郊外にしばらく滞在して
今回仕入れた石の写真を撮ったり、アクセサリーを作ったり、、、、
1週間くらい、そんなゆっくりした時間を過ごすつもりでいた。
で、この友達が「いいところがあるよ」と連絡をくれたわけだ。
でも、なんだか無理そうである。ビールを飲んでも。
電池切れ・アドレナリンはもう放出されていない。
「やっぱり、明日の便で日本に戻るよ」そう言った次の瞬間、
教会の鐘が一斉に鳴り始める。なんとも美しい鐘の音だ。
この鐘の音が、吉兆の知らせでありますように。
私がこれから進む道への祝福の鐘でありますように。
―――― 旅・おしまい ―――――
旅の始まり・成田空港
ミュンヘン 1 到着
ミュンヘン 2 石の祭典
ミュンヘン 3 旧友との再会
ミュンヘン 4 石の祭典と石友達
ミュンヘン 5 道に迷う。まっすぐ進め
ミュンヘン 6 現地で美味しかったもの
ミュンヘン 7 あれこれ
ミュンヘン 8 アンマのダルシャン、そしてベルリンへ
ベルリン 1 ベルリン天使の詩
ベルリン 2 街を歩く
ベルリン 3 ベルリンからミュンヘンへ。そして帰国