ルドラクシャの紐を作り直す

あまりにもボロボロになったルドラクシャのコードを新調する。毎朝起きて、マントラを唱え、瞑想し、そしてこのルドラクシャを首に掛ける。それが私の日課。今風に言えばモーニング・ルーティーン。たかが木の実、と思う人はそう思うだろうな。でも私にとっては来るべきして手元にやってきた一粒のルドラクシャ。ペンダント仕様にしているけれど服の外には出さず、(人に見せるものではないので)お守りのようにまさに「肌身離さず」身につけている大事な木の実。久しぶりにコードを作り直したので、このルドラクシャの思い出話を書いてみようと思う。

シヴァの涙、と訳される金剛菩提樹の実、ルドラクシャ。溝の数によって対応する神様(もちろん、インドの神様)が異なり、インド占星術で「あなたに対応する」溝の数のルドラクシャを調べてもらうことができる。このルドラクシャが私の元になってきたのは8年前のネパール。

インド・ネパール行きのちょっと前にインド占星術の鑑定を受けた。そこで対応する宝石とルドラクシャを教えてもらった。私の生年月日から導き出されたルドラクシャはとてもレアなもので、本の中でしか見たことがない。(インド・ネパールでは数珠としてルドラクシャは当たり前のように売っている。そしてサドゥや信仰深い人々も身につけている)

「それって見つけるの難しいですよね、現地でも」

「う〜ん、そうですね、、、でもこのルドラクシャ、と星では出てきるんですよね、、、」鑑定師の方もそう言う。

現地で一生懸命探しても見つからないだろうな(そしてぼったくられるだろうな)、もし機会があったら入手しよう。そんな感じで「絶対に手に入れてやる!」という意気込みはほぼゼロだった。

インドに滞在し、その後、ネパールへ。十数年付き合いのあるネパール人宅を訪れたときのこと。何気なくこのルドラクシャの話をした。現地でも見つけるの難しいよね、、、ってな感じで。(ルドラクシャはネパール産が高品質と言われている)

その場でどこかに電話を掛ける知人。「友達が探してくれるって。自分もレアなルドラクシャを欲しいと思っていたところだったからちょうどいい機会だ。明日、またうちに来て。」本当に見つかるの??電話一本で!

翌日、知人宅を訪れるとそこに私が探していてルドラクシャがあった。私は知らなかったのだけど、このネパール知人は、ルドラクシャのコレクターでめずらしいルドラクシャをたくさん持っていた。「身につけるのは、月曜日だよ、シヴァ(インドの神様)の日だ」

さりげない会話の翌日に、探していたルドラクシャが手に入るなんて。なんだかキツネにつままれてたような気持ちだった。次の月曜日が待ち遠しいなぁ、、、、

ルドラクシャを身につけるその日はなかなかやってこなかった。

数日後、私はインドで引いていいた風邪を悪化させてしまい、血痰を吐くほどの肺炎になり2週間も入院生活を送る羽目に。「肺炎ってこうやって急変し、そして死んじゃうんだな、、、」酸素マスクを付け、点滴やモニターに繋がれて横たわる病室でそんなことを思ったのを今でも覚えている。

今思えば、これって命懸けのルドラクシャによる浄化だったのかも。

退院し、ホテルで休養をしていたが、とても月曜日を待ってルドラクシャを身につける元気なんて、なかった。と、いうかそんな「ルドラクシャの日」のことも忘れていた。なくしちゃいけないので、パスポートとともにマネーベルトの中に入れておく。

ある日の午後、旅人友達から電話がくる。「夜に食事会をするから、来ない?お醤油とお味噌が手に入ったから、”なんちゃって日本食”も作るよ」日本食もどきが食べられるなんて、嬉しい限りだ。病後は、NO!マサラ!だ。胃に染み渡る醤油。味噌味の料理を堪能し、久々に旅友達との会話(それも日本語!)。楽しいひとときを過ごす。

ふと、窓の外に目をやると、美しいお月さま。

「今日は満月だね、月が綺麗だ」 友達がつぶやく。そして気づく。今日は月曜日。

満月の月曜日にルドラクシャ。マネーベルトからルドラクシャを取り出し、そっと首に掛ける。満月が、綺麗だな。

翌日から私の心肺機能は格段に良くなる。3歩歩いて息切れしていたのに、ホテルの2階の部屋から1階に一人で降りれるようになった。全ては絶妙なタイミング。ルドラクシャマジックだ。