
インド、ネパールの山岳地帯には多くのチベット系の人々が暮らしています。
チベット人女性が身につけている装飾品で圧倒的に多いのがターコイズと山珊瑚。ブルー系よりこのようなグリーン系のスパイダーウェブの入ったターコイズ。元々遊牧民族だった彼らは、「財産を身につける」風習があったのだと思います。代々受け継がれてきた財産です。
家の建て替えや冠婚葬祭など、どうしても現金が必要となった時、身につけているターコイズビーズを一つずつ手放し、現金化していったそう。

仕入をしていると、たまに裏側に溝の入ったカボションに出会います。
元々、大きなターコイズのビーズを分割して研磨して裸石(ルース)として流通させているためこのような「ビーズの通し穴」が残っています。
インド、ネパールではターコイズは産出されないため、シルクロードなどの貿易の道をたどり彼らの手元に届き、珍重されてきた。
そしてチベット本土のチベット人がヒマラヤを超え、インド、ネパールに移り住む。
現地ネパールでターコイズの仕入をしている時、この美しい石はどんな道を辿ってきたのだろう?と思いを馳せる。
標高高く、山も草木も鮮やかな色のない世界できっとターコイズの色彩は彼らの憧れでもあったのではないか?と思うのです。