クリスタルとの出会い

初めて手にしたクリスタル」を覚えている、そんなクリスタル好きな人は多いと思います。
もちろん、私自身も覚えています。
1991年に出版された「クリスタル・ビギニング」という本。
どういういきさつかは忘れてしまったのですが、
今となっては思い出せない知人からプレゼントされ、
確か初版本にはブラジル産のシングルポイントのクリスタルが付属されていた、、、、
そのクリスタルが生まれて初めて手にしたクリスタルでした。
しかし、クリスタルを見ても美しいとも思わなかったし、なにも感じることもなかった。
もちろん、本の内容も「本当に、こんなことってあり?」という印象を受けただけ。
その当時私にとっては「まだ早すぎる」出会いだったのかもしれません。

私にとっての本当の「クリスタルとの出会い」についてお話したいと思います。

時は流れて6年後の1997年6月。
私はインド山岳地帯のある村にいた。
インドに向かう前の生活といえば、
自活し、働きながら夜間の美術学校に通う生活だった。
少々、その生活に疲れてきたころ、
昔から行きたかったインドに行こう、と思い立ち
仕事の契約更新をせず、休学をし、インド行きのチケットを手にいれた。
、、、、、早い話が現状の生活から逃げ出したかった。

インドに入国して10日。様々な出来事が起こった。
「出会うべき人」に出会い「行くべき場所」に行った。
まるで既に計画済みのプランをひたすら実行しているような不思議な流れの中にいた。
あんなに楽しかったはずの絵を描くことがいつの間にか苦痛になっていたことに気づいた。
日々それなりに充実していた生活が実はとても苦痛だったことに気づいた。
「以前の生活には戻りたくない」と思っている自分がいた。
逃げ出した挙句にすべてを捨ててしまいたくなった。
その一方で、そんなことは果たして可能か?周囲に相当な迷惑をかけるに違いない。
今すぐに帰国したほうがいい、まだ元の生活に戻るのに間に合う、、、、とも考えていた。
インドの山奥で悶々としていた。
どんなに日本から遠く離れても、結局「日本の生活」は悩みという形を取って
どこまでも私を追いかけてくる、逃げることなんてできないのだ。やれやれ。

そんなある日、頭がすっかり飽和状態になった私は
麓の河まで歩いて降りてみることにした。
ニジマスも釣れるほどの綺麗な河。気分転換にちょうどいいじゃなか、と。

雨期が例年に比べると遅かったその年、天気もいいし、
ぶらぶらするには絶好の日和だった。
山道を下っていると、前方から3人のチベット人の女の子達が登ってきた。
上は6歳、下は3歳くらいの女の子達。
とてもかわいかったので写真を撮らせて、と頼んでみた。
カメラを向けると、はにかんではいたけどとても嬉しそう。
その後、珍しそうにカメラをいじりまわす子供たち。もっと撮って、と言う。

突然一人の女の子が私にクリスタルを差し出した。
大人の小指ほどのクリスタル。
下の河で見つけてきたものだと言う。山から流れ着いてきたものだろう。

インドではよくあることだけれど、写真を撮ると「送ってね」とよく言われる。
タチが悪いのになると「写真撮ったんだからお金くれよ」になる。
この女の子はどちらでもなかった。
私にそのクリスタルをくれると言う。
よっぽど撮ってもらったことが嬉しかったようだ。
写真を撮って相手から何かをもらうなんて初めてだった。
なによりもその子の気持ちが嬉しかった。
とても大事なものを受け取ったような気がした。クリスタルに形を変えたなにかを。

その日から貰ったクリスタルを肌身離さず持ち歩いた。
夜になるとそのクリスタルを見つめながらその日一日の出来事を思い出す。
「大丈夫、最後には全て上手くいくから」
「なにも心配しなくてもいいのだから」
どこからともなく聞こえてくるその言葉に耳を傾け安堵し、毎晩深い眠りについた。
結局、その年に私は帰国をしなかった。
当初の予定をはるかに超える長い旅になった。

旅を始めて半年後、ある国に入国した時のこと。
ホテルにチェックインし、荷物をほどいていると
突然、「この旅は、ここで終わり」という言葉が聞こえた。
無意識にいつものポケットにしまってあるクリスタルに手をやろうとすると、
そこにあるはずのクリスタルがない。
いつも同じ服しか着ないので、そこにあるべきなのに、ない。
洗濯だって自分でする。失くすはずがない。
一緒に旅をしてきたクリスタルが姿を消した。
日本に戻ろう、旅は終わったのだ。

投稿者:

tigressyogi

1969年冬・東京に生まれる 世界放浪中にクリスタルの美しさに心を奪われ クリスタルショップ Tigress Yogi を立ち上げる 筋金入りの偏頭痛持ちだか、日本を離れるとなぜか頭痛は消える 米国クリスタルアカデミーIntermediateコース終了 出没地:インド、ネパールその他山岳地帯

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