チベタンターコイズの話

インド、ネパールの山岳地帯には多くのチベット系の人々が暮らしています。

チベット人女性が身につけている装飾品で圧倒的に多いのがターコイズと山珊瑚。ブルー系よりこのようなグリーン系のスパイダーウェブの入ったターコイズ。元々遊牧民族だった彼らは、「財産を身につける」風習があったのだと思います。代々受け継がれてきた財産です。

家の建て替えや冠婚葬祭など、どうしても現金が必要となった時、身につけているターコイズビーズを一つずつ手放し、現金化していったそう。

仕入をしていると、たまに裏側に溝の入ったカボションに出会います。

元々、大きなターコイズのビーズを分割して研磨して裸石(ルース)として流通させているためこのような「ビーズの通し穴」が残っています。

インド、ネパールではターコイズは産出されないため、シルクロードなどの貿易の道をたどり彼らの手元に届き、珍重されてきた。

そしてチベット本土のチベット人がヒマラヤを超え、インド、ネパールに移り住む。

現地ネパールでターコイズの仕入をしている時、この美しい石はどんな道を辿ってきたのだろう?と思いを馳せる。

標高高く、山も草木も鮮やかな色のない世界できっとターコイズの色彩は彼らの憧れでもあったのではないか?と思うのです。

冬の夜空を見上げる

アフガニスタン北部で産出されるラピスラズリ  古代エジプト王妃はかの装身具や        高松塚古墳の壁画の絵の具としても使われてきまいた。

顔良のウルトラマリンの原料でもあります。含有されている黄金色の鉱物はパイライト。

冬の澄んだ夜空に輝く星

その景色はまさにラピスラズリ

光を閉じ込める

 

裸石のときは遊色のでない、ただのグレーの石だった。

「仕入れ、失敗したな、、、」

仕入の際は一つひとつ、遊色のチェックをするんだけど何百という裸石をセレクトする過程でたまに水準以下、の石が混ざってしまうことも無きにしも非ず。

サンプルに使おうという事でサンプル編みを始める。試作、というものだ。

しばらく作業に没頭して、ふと石と正面からのぞいてみると、ブルーの遊色が出現していることに気づく

なんで?

光を閉じ込める、という言葉が浮かぶ。

どの角度からでも光が当たる裸石の状態からフレームで周囲を覆い光を、閉じ込める。その先にブルーの輝きが現れる。

偶然といえばただの偶然。

でも素晴らしい偶然にありがとう。