3年前のクンブメーラで知り合ったMちゃん。
今回、彼女が先に会場入りしていて、彼女が宿泊しているテントに
私も居候させてもらうことになる。
ここから始まるまったく英語が通じないサドゥとのテント生活。
俗世を捨てた神様の子供たちの世界にいざなってくれたMちゃんには
本当の本当に、感謝している。
さて、今回のお宿は女性サドゥのテントキャンプ。
男性お断り。そしてゲートにも常に警官が警備していて
見知らぬ男性たちがゲートに近寄ろうとすると、警告する。
でも一部の身元がしっかりしている男性サドゥは、昼間のみ挨拶にきて
チャイを飲んでいったりしている。(ごく少数だけど)
聖地で見かけるサドゥは圧倒的に男性が多いのだけど、
女性サドゥも存在する。が、圧倒的に少なく、見かけることもほとんどない。
数も絶対的に少ないけど、昔読んだ本では、女性サドゥは
放浪しないで、アシュラム内に留まって修行をすることが多いらしい。
どうしたって女性だけの放浪はリスクが高すぎる。
ま、これは旅人も同じなわけだけど。
男性サドゥには ババ・ジーと呼びかけ女性サドゥはマーター(お母さんの意)・ジー。ほとんど見かけることのないマーター・ジたちに一同に会えるなんてめったにない機会だ。
恐らく、女性サドゥたちにとってもこんな機会でないと全国に広がる数少ない「仲間」に
あったり、交友関係を深めたりできないんだと思う。
私も結構聖地にはいったこと、あるけれど、
これだけの人数の女性サドゥの集団を見たのは初めて。とても貴重な体験。
滞在したテントの持ち主(?)の女性サドゥ。
この人は雪が降っても雨が降っても裸足で過ごし、
米、チャパティなどの炭水化物を摂取しないという厳しい修行を課している。
(、、、、と、Mちゃんが通訳てくれた)
同じテントだった女性サドゥ。恐らくまだ20歳代後半から30歳代初めなのではないか?
背が高く、凛とした雰囲気のサドゥだった。
お母さんと、お弟子さんと一緒に巡礼にきていた。
このテントに宿泊しているのは、女性サドゥをはじめ
巡礼にきたインド人女性の信者さんたち。
夫婦で巡礼に来ても、奥さんは、この女性テントに宿泊して、
だんなさんは、男性サドゥテントに宿泊する。
藁を敷き詰めた床にそれぞれが持ち込んだ毛布やなんかを敷いて雑魚寝。
簡易囲炉裏がひとつ。この囲炉裏、、、、というか火は神聖なものなので、
私たち俗世のもの(インド人信者も含む)は触れることができない。
(囲炉裏の近くはサドゥのポジション。一般人は囲炉裏から離れたところが寝場所)
なので、この囲炉裏を使ってお湯をわかしたりチャイを作ったりするのはサドゥのみ。
毎朝、おでこにこの囲炉裏の灰をサードアイにさっと付ける。
たまに、私にも付けてくれる。灰を額に付けることで、神様が宿るんだって。
たまに男性サドゥのテントにお邪魔していると、一般のインド人が紙袋を持って
「灰をいただけませんか?」とひとつひとつのテントを回っている光景を見かける。
サドゥが一掴みの灰を袋に入れてあげると、いくばくかのお金を置いて次のテントに向かう。
そのくらい、囲炉裏とその灰は神聖なもの。
これは一般家庭にも当てはまることで、よそ者(特にアウトカーストな外国人)は
むやみにその家庭の台所に足を踏み入れるのはタブー。
台所は「火」のあることろなので、神聖な場所なのです。
その家の奥さんさえ、月経中は料理をしない。
月経はなぜだか不浄なものなので、その期間は神聖な場所には足を踏み入れることはしない。
さて、女性サドゥの場合は?
アシュラム(僧院)には月経期間を過ごすお部屋というのがあって、
月経中の女性サドゥはその部屋で過ごすそうです。
こんな、キャンプ生活中に月経がきてしまった場合は?
こういう時はどうしようもないので、少し離れた場所を陣とっておとなしく過ごす。
そして、目上のサドゥのところへの挨拶などは控える、、、そうです。
オンナというのは、どこの世界に住まおうが面倒なものである。
驚くことに、このクンブメーラ滞在中に日本人の女性サドゥ二人に出会う。日本人の男性サドゥには、今までも出会ったことがある。女性もいるだろうとは思っていたけど、まさか出会えてお話しできるとは。この方達のお話は、個人が特定されてしまう可能性が高いので、ここには記しませんが、お二人ともまだ若い方でした。
滞在中、サンスカールという、サドゥの通過儀式に遭遇する。
既に、サドゥに弟子入りして共に過ごしているわけだけど、
このクンブメーラという期間に通過儀式をし、晴れて公式にサドゥとなるのです。
もちろん、女性サドゥは女性サドゥのみで行う。
サンスカールの最初の儀式は私たちの隣のテントで行われていた。
サンスカールの準備のために集まりつつある、女性サドゥたち。
剃髪して参加なんだけど、間に合わなかった人は河原に行く前に、
床屋さんが来てくれて、みんなきれいさっぱり丸坊主。
男性は全裸になるらしいけど、さすがに女性はそうは行かず、布一枚を身に付ける。
私は宿泊していたテントの、まだ10代と思われるサドゥも既に頭を丸めて準備完了。
歌が始まり、儀式が始まりだすと「写真は撮るな!」と厳しく言われたので、
写真はこれしかありません。
老いも若きも通過儀式。西洋人の女性もいた。
見ているだけなら怒られないので、少し距離を置いて見ていると、
他のサドゥが「あんたも頭剃って、そこに座れ」なんて、冗談ぽく言ってくる。
サドゥになるとは、俗世の自分が死に、その葬式を自身で済ませ、サドゥとして生まれ変わること。
なので、サドゥが死んだ場合、火葬はしない。もう俗世の葬式は済んでいるから。
布に包んで、河に流すのみ、だそうだ。
テント内で儀式が済んだあと、河原に移動しそこで一晩、薄い布一枚を身に付け(さすが女性なので全裸はない)飲まず食わずで過ごすそうだ。
この日の晩遅く、多分、2時か3時ごろ、就寝しているとテント内が騒がしくなる。
同じテントの若いサドゥが河原から戻ってきた。儀式終了。
もう、疲労困憊でぐったりしている。(ものすごく寒いんだ、ここの夜)
他のサドゥが急いで火をおこし、ぐったりしているサドゥに毛布を掛け、世話をしていた。
半分夢の中で、「ああ、私はサドゥになれそうにない」と思わずつぶやく。